決断と選択

東京大学 法学部

岩佐 陸生さん

〈福井中学校 令和元年卒〉

〈福井高等学校 令和3年卒〉

福井中学校・高等学校で学び東大現役合格を果たした岩佐陸生さんに、特別進学科・スーパー特進コース2年生の塚﨑佑太さん、佐治航汰さんが質問し、東大合格までの道のりや受験のアドバイス、福井高等学校ならではのサポート体制について話しました。

《聞き手》

特別進学科スーパー特進コース2年生

塚﨑佑太さん・佐治航汰さん

《取材日》

2023年11月

部活動の練習環境は最高だった。

塚﨑 : 岩佐先輩は水泳部だったと伺いました。

岩佐 : 水泳は小さい時からやっていて、高1の時に開催される福井国体への出場を目指して、福井中学に進学したんです。福井市内の中学校で、屋内プールがあるのはここだけだし、大学と連携している施設や指導体制は素晴らしい。スイミングスクールで続けるという方法もあったけど、ここは学校の部活なので、学校行事との連携や勉強との両立もできそうだなと思いました。

塚﨑 : 水泳の成績はどうでしたか。

岩佐 : 中3の時、50メートル平泳ぎと200メートル平泳ぎで県大会で1位。北陸ブロック代表として全国大会にも出場しました。ただ目標だった国体には、出場できなかったんです。

佐治 : 何かあったんですか。

岩佐 : 中3の秋に足のじん帯を切るけがをしてしまって。2カ月間泳げなくて、その後もしばらく思い切り動けない状態が続きました。水泳部には高校2年生まで所属していましたが、国体を断念したあたりから、軸足を水泳から勉強へ徐々に変えていきました。

その時に優先すべきことを考え決断する。

佐治 : 切り替えはうまくいきましたか。

岩佐 : 負けず嫌いだから、部活をしながら勉強も上位にはいたので。僕は元々、計画を立てるのが好きというか得意なんです。東大受験を決めた高2の秋に今後のスケジュールを考えた時、合格のためには休日は12時間の勉強が必要だと計算しました。そうなるともう部活に回す時間はない。これからは勉強1本に絞ろうと決断しました。水泳も精一杯やったし、今やるべき事は何かを考えて、そこからは迷いなく受験勉強に没頭できました。

塚﨑 : 僕は意思が弱くて、普段の勉強も目標手前で諦めてしまいます。どうしたらやり遂げられますか。

岩佐 : 目標設定やスケジュールを立てることも大事だけど、まずは早いうちに自分が集中できる勉強法や生活スタイルを確立しておくことをおすすめしたい。これができていると、受験後半に踏ん張りがききます。方法は人によって違うので、1、2年の間にいろいろ試して見つけてほしいですね。僕はどんなに調子が良くても50分間勉強した後に10分間の休憩を必ず取りました。受験はロングランだから、できるだけ疲労をためないための工夫です。あと、高3の秋ぐらいまでは志望校は高めに設定していいと思う。現役生は最後にぐんと伸びるケースが多いので、1、2年生のうちに上限を決めてしまうのはもったいないから。

佐治 : でもいずれは学力との折り合いをつけることになりますよね。

岩佐 : それが進路指導だけど、福井高校はとても丁寧だと思う。目標達成までの学習方法や、着地点をどこに持ってくるかなどを自分一人で判断するのは難しいから、先生にどんどん聞けばいい。生徒の方がやる気で求めていけば、それ以上のものが返ってくるサポート体制が、福井高校にはあるから。

マンツーマンの個人指導で受験を応援。

佐治 : 先輩は、何かサポートしてもらったんですか。

岩佐 : 僕は高3の時、マンツーマンの特別授業をがっつりと組んでくれました。これは福井高校だからできたことだよね。2年の後半から僕が本気でやっているのを先生方も見ていて、成績も伴ってきたので、「やるか」という感じで。僕は周囲に人がいると集中できないので、これはありがたかった。受験の競争相手は全国の秀才たちなので、自分一人だけで合格を勝ち取るのは難しかったと思います。

佐治 : 僕は友達とやる方が勉強に集中できるので、放課後はたいてい20時頃まで学校の図書館で勉強しています。

岩佐 : 頑張る仲間の姿が刺激になるという人はいいと思う。ここは大学の図書館が中高生も使えるから、実はすごく恵まれている。毎日22時まで利用できる図書館なんて、そうそうないから。

塚﨑 : 当たり前に利用していたから考えたことなかったなあ。

佐治 : 学校の敷地内にあるから、先生がいればすぐに質問することもできるしね。

岩佐 : 僕も在学中はここしか知らないからわからなかったけど、卒業してから福井高校はすごく環境が良かったなあと思う。水泳も勉強も思い切り熱中できた。他にも中学3年の後半に高校の勉強を先取りして教えてくれるので、県立高校の生徒より先行してスタートできる。もちろん、その後の努力は必要だけどね。

塚﨑 : 最後に、受験勉強についてのアドバイスがあれば。

岩佐 : 困った時は、やはりいつも見ていてくれる先生方の力を借りることかな。実は僕、高3の秋の東大模試で、現代文で偏差値27を取ったことがあって。東大志望者の模試とはいえ、これだけ見たら絶望的で、普通に涙が出ましたよ。先生は「まあ、そんなこともあるさ」と平然としていました。それを聞いて僕も、止まっているわけにはいかない、とりあえず手を動かさなくてはと。ほかにも折々に、適切なアドバイスをくれました。僕の東大受験に伴走してくれた福井高校に感謝しています。

一覧に戻る